○農業の地域資源の内部循環機能による環境保全
印旛沼地域の自然は、白神山地のような原始の自然ではありません。
台地の畑作、低地の稲作という農業が古くから行われた中で、築かれてきた二次的な自然です。
元々 農業は、その地域にある「水路などの水辺」「水田」「畑」「里山」にある資源をうまく組み合わせ循環させることによって営まれていました。
例えば、肥料は、雑木林の落ち葉や除草した雑草、家畜の糞、印旛沼の廻りでは「モク苅り」といって水草などを使用して堆肥を作り田んぼや畑で使用してきました。
稲がみのり稲を苅ると「オダ足」という稲を天日干しするための柵を竹と縄を使って組み使用しました。 脱穀や、もみすりの後に出来る藁、籾、糠も、縄や蓑の材料や堆肥の原料などに使われてきました。
冬には、雑木林の木で炭を焼いたり、竹や篠竹でざるなどの生活用品をつくって売り収入を得ていました。
土木作業においても護岸に間伐材の丸太に岸辺の柳の枝を編んだ材料を使用したり、軟弱な地盤のところに道路などを作る時も、木の枝や葦、篠竹を敷き込みその上に土を盛って造成しました。
水は非常に大切ですから、水路に貯まった土砂や雑草などを定期的に取り除き、水漏れがないように水路の法面を補修したりして、スムーズに水が流れるようにいつも気を配っていました。
このように「水路などの水辺」「水田」「畑」「里山」にある資源をうまく組み合わせ循環させることによって営まれていたため、「もったいない」といった感覚の中で、それぞれが大変価値があるものとして、大切に守られ、無意識のうちに環境を守ってきたのです。これを「地域資源の内部循環による環境保全」といいます。
この地域の水質など自然環境の悪化してしまった原因は、社会の変化の中で、この地域内部資源の内部循環機能が崩れてしまい「水辺」「水田」「畑」「里山」のバランスのとれたそれぞれ価値観が失われてしまったことに原因があります。
人々は豊食となり、一人当たりの米の消費量も減少する一方で、外国から大量に食料を輸入し、そして食べ残すようになりました。
燃料は、炭に変わって石油などの化石燃料にかわり、流域では台地を中心に開発が進み排水の量や質が変化しました。
また、農業でも、化学肥料や農薬、除草剤が普及し、機械化されるなど耕作の方法が変わりました。水路も維持を容易にするためにコンクリート製品や塩化ビニール製品が使われなど大きく変わりました。
しかし、農業にはまだ失われていない 或いは取り戻すことが出来る そして新たに作り出せる「地域資源の内部循環による環境保全機能」があります。
印旛沼土地改良区ではその機能を発揮させるための行動をはじめています。
自然環境保全のため、地域資源の内部循環機能を取り戻そうと、昔の生活に戻ることは不可能に近いことです。
しかし、その機能の充分に発揮させればきっとすばらしい環境を作り出すことが出来ると私たちは思っています。
みなさんも、農家と一緒になって、出来ることから取り組もうではありませんか!
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