○地域の水循環による「潤い」と農業水利施設
環境に対して流域に暮らす人々の関心も非常に高くなってきており、様々な活動、各種の研究が行われその成果が表されているところです。
そのような中で、一つ大切なことが忘れられている様な気がしてなりません。それは、地域の水の循環についてです。
人が暮らす上で必要な快適な空間の一つの要素として「潤い」という言葉があります。
「潤い」とは、水循環の中で、景観が形成されていたり、動植物などが暮らす豊かな自然、また、それによる人々への癒し効果などを表す言葉ではないでしょうか?
この「潤い」を提供している印旛沼の水の循環について考えてみましょう。
水は、印旛沼から印旛沼に隣接する農業用水を揚水するポンプ場やそこから延びる幹線用水管を使って、地域の最も高い場所に送られます。その場所は里山に入り込んだ谷
津田の上部です。そこから地形勾配にそって用水路、水田へと面的に広がりながら下ります。
そして、排水路にしみ出した水は、台地の住宅地や畑からの水と合わさり、排水路を下りながら除々に集められ,※幹線排水路さらに河川をとおり印旛沼に注がれたり、印旛沼にそって設置されている※低地排水路に集まります。
この低地排水路は印旛沼の水位(※YP2.5m)より低いことから、排水ポンプ場によって、印旛沼に戻ります。この水の循環の中で、農業はもちろん多様な動植物の暮らしが営まれ、すばらしい景観が形成されているのです。
♪春の小川はさらさら行くよ
岸のスミレやレンゲの花に…
童謡 「春の小川」に歌われる風景は、用水路や排水路をながれる水やそうした風景から作られました。
この水の循環を人の体に例えると、心臓は印旛沼、揚水ポンプや幹線用水路は大動脈、それより小さな用水路は動脈です。
また、河川や幹線排水路は大静脈小さな排水路は静脈です。
「潤い」という健康体を維持しようとするならば、この水の循環をスムーズにしておかなければなりません。
農業用水のポンプ場や用水路、排水路といった農業用水利施設の見方を単に作物を育てるためのものと言うことではなく、同時に地域に「潤い」をもたらしてくれる施設として見ていただくと、今までと違った新たな発見があると思いますよ。
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